小野隼平個展  Shumpei Ono Solo Exhibition
モバイル Mobile
2022.1.16(日)− 2022.1.23(日) 11:00 − 19:00(最終日は 17:00 まで) 
会期中無休 入場無料
<会場1> マジェルカギャラリー 
東京都武蔵野市吉祥寺本町 3−3−11 中田ビル 地下一階(JR吉祥寺駅北口から徒歩8分)
<会場2> GALLERY33 SOUTH 
東京都杉並区高円寺南 4−12−21 SUNSKY(高円寺駅南口から徒歩5分)
We buy used gear #2
ハードオフの店舗内外で散見される文言「We buy used gear」とそれをタイトルとして引用した写真群の関係性について。
「お家に眠ったままのあれ、買い取りますよ?」−− 簡単な英語で綴られた文言は、扱う商品の種類とその入手経路を暗示しながら、時には問い掛けてもくる。ファサードにデカく印字されたり、商品棚に繰り返し記されたり、買い物をしていると自然と視界に入ってくる。頻度としては、そもそも全店舗で見られるものではない。リモコンの購入先をハードオフに限定していない僕にとっては、なおさら稀な存在であったことが、注目し始めるきっかけとなった。副題として優秀ということなのか、いつも非番の佇まいがとても気になる存在である。
到着するや否やジャンク品コーナーに直行し、推しのリモコンが見つかり次第、即退店していた。何度か見かけるうちに擦り込まれた文言は、今では「おお、着いたついた」と到着の感触をくれる。買ってきたリモコンを店の近場で撮影して、購入 / 訪問履歴として写真におさめていった。
作品タイトルに文言をそのまま採用したのは、「文言が到着を報せるようになったから」に加えて、収集した写真が移動の起点もしくは終点を担えるものだったから、と言える。2つが同じ名前になり、互いを延長しあえる関係性を持ったこと。それはとても嬉しいことで、フレームアウトしている移動も探しやすくなった。
口パクでうたわせて
友人とカラオケ館へ行ったときの、虚実入り混じった話。
「ハウリングするから両方とも切っていいよ」
「でも歌は?」
「とりあえず大丈夫。このまま――」
ぱぱぱとファンファーレが鳴って、曲が急発進した。頭から全速で駆け抜ける曲調に正面から引っ張られる。画面の中ではアニメーションの少女達が踊り始めている。グループ全体、個人の身振りもすでに馴染みが深く、ディスプレイとの間に立って踊る友人の残像は素直に邪魔だと感じる。両者ともに振付は完璧。彼はアレンジもしてたと思う。マイクの電源が切られながらも、本来は歌い手をアシストするはずのコーラスは控えめに響いて、この場では彼が出す衣擦れ音と並走している。 口パクでうたう彼、マイクを離さない口元、難易度の高そうな ダンス。画面外だとより激しく、所作も多いようにみえてしまう。重ねようと、それらに歌を合わせようと必死に想像した。
(ちなみに僕はこの曲が好きだ。どんな声色がどこの歌詞を担当しているのか大体覚えていた。だからこそ後を引く出来事になった。)
「彼女たちと featuring してるんだ」
曲が終わってすぐに感想を出した。くすりとも笑ってくれなかった。次の予約曲が始まったので、残りは普通に歌って帰った。
彼はリズムをとるために歌詞を口ずさんでいて、歌おうとはしてない。それがそのまま歌声の不在を縮小させ続けて、パフォーマンスは充足した状態で終えられた。僕も空振りしたように何も思い起こさなかった。
(会場配布ハンドアウトより抜粋)
at GALLERY33 SOUTH
at GALLERY33 SOUTH
at GALLERY33 SOUTH
at マジェルカギャラリー
at マジェルカギャラリー
at マジェルカギャラリー
at マジェルカギャラリー
at マジェルカギャラリー